外出自粛によって生まれたトレンド「巣ごもり消費」とは?
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、人々の生活は大きく変化してきています。それに伴い新たに生まれた言葉が「巣ごもり消費」です。巣ごもり消費とはどのようなものなのか、巣ごもり消費によって消費行動がどのように変化していったのかをお伝えしていきたいと思います。
コロナ禍で生まれた新しい言葉「巣ごもり消費」とは
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために発令された外出自粛要請により、自宅で過ごす時間が増えました。その結果、従来であれば外で行っていたような行動が、家の中にいながら行われるようになってきたのです。例えば、
・外食せず、テイクアウトやデリバリーなどを使う
・日用品や食品などの買い物をネット通販で済ませる
・映画館へ足を運ばずに動画配信サービスを活用する
・会議や飲み会などをオンライン上で行い、人と会わないようにする
など、様々な行動が変化してきています。
こういった、家の中で生活を完結させるような消費行動を「巣ごもり消費」と呼びます。
巣ごもり消費で変化した需要
新型コロナウイルスの感染拡大により外出が制限されるようになり、消費行動が変わってきています。以下で、特に大きく変化したものを紹介していきましょう。
外食から中食や内食へ
コロナ禍になるまでは外食を楽しんでいた人々が外出を自粛するようになり、家計における外食費が減少し、代わりにテイクアウトやデリバリーと言った中食(なかしょく)にかける出費が増加しました。また、結果的に自炊や宅飲みの回数が増えたため、食料品やビール、チューハイといったアルコール飲料を購入する人の割合が増えています。
なお、巣ごもり消費で中食を選ぶ人が増えた結果、テイクアウトやデリバリーに対応する飲食店が増え、さらに選択肢が増えてサービスの魅力が増していったという点も相乗効果として挙げられるかもしれませんね。
移動手段の変化
次に大きなものとして、移動手段の変化が挙げられます。
従来ならば通勤に電車を使っていた人々の一部がリモートワークへと切り替わったことや、買い物をネット通販で済ませる人が増えているため公共交通機関の利用者が減少しています。また感染拡大予防対策として都道府県をまたぐ移動が制限された時期があったことも影響し、旅行が未だ自粛傾向です。都道府県間の移動制限が解除されている2022年現在でも、自家用車で移動して現地の宿泊施設だけを利用する、もしくは自宅から1~2時間圏内で観光を楽しむ「マイクロツーズム」のスタイルが人気。これらのことから、バスや電車の利用者が減少傾向にありました。
それに対し、巣ごもり消費で需要が増えた移動手段は、自動車や自転車などのセルフ移動、タクシーによる移動などです。タクシーは公共交通機関の一部と言えるのですが、接触する人が運転手のみという点から利用者が増えているのではないかと考えられます。できるだけ人との接触を減らして移動するため、公共交通機関からセルフ移動へとシフトしていったことがわかります。
服飾費が激減
食費や交通費の変化は想像がしやすい点だったとは思うのですが、実はアパレル業界にも大きな変化が生じています。従来であれば、シーズン毎に新しいデザインを販売すれば売れていた衣料品が、このコロナ禍になり売上が軒並み激減。ユニクロやGUなどのブランド「ファーストリテイリング」や「しまむら」、「ワークマン」といった数社を除き、多くの企業が大打撃を受けています。
なお、これは日本のみに限らず、世界中で共通している点です。
アメリカのファストファッションチェーン店「フォーエバー21」、同じくアメリカの老舗ブランド「ブルックス・ブラザーズ」、イギリスのライフスタイルブランド「ローラ アシュレー」などが新型コロナウイルスの影響で経営破綻したことは記憶に新しいのではないかと思います。
多くの人が外出を自粛するようになり、店舗に足を運ばなくなったことに加え、リモートワークになったことでそもそも洋服が不要になったという点も大きいでしょう。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大に影響を受けて生まれた「巣ごもり消費」という言葉は、人々の生活に様々な変化が生じた結果です。今までならば外出しなければ成り立たなかった生活が、自宅にいながら成立するようになり、消費行動が大きく変化してきているのだと思われます。様々な業界に大きな影響を及ぼしている「巣ごもり消費」が、一時のトレンドで終わるのか、それとも継続していくのかが気になるところですね。