感染拡大対策で求められる外出自粛とは

コロナ禍になって以来、感染者数の増加に合わせてその都度、政府は感染症拡大対策として国民に外出自粛を呼びかけています。
コロナ禍は3年目になりますが、以前として収束する見通しは立っていません。コロナに罹らないため、またうつさないためには外出自粛が有効ですが、若者の中には感染対策をした上で外出自粛をしなくなっている層も一定数存在します。
第8波の到来を前に、ここであらためて感染拡大対策で求められる外出自粛について把握しておきましょう。

外出自粛の定義について

コロナウイルスは感染者の咳、くしゃみ、会話等の際の飛沫やエアロゾルを介して感染します。エアロゾルとは空気中を浮遊する水分を含んだ小さな粒子の総称で、通常の飛沫よりも長く空中にとどまるため、密閉空間や混雑した室内では感染拡大のリスクが高まることが知られています。

感染を防ぐには、人の集まる場所や密閉空間を避ける必要があります。

外出自粛とは、不要不急の外出を控えることです。不要不急かどうかの線引きは「本当にその外出は必要なのか」です。たとえば以下の場合は生活する上で必要不可欠のことなので、不要不急に当てはまりません。

  • 食料品や医薬品の買い出し
  • そのためにスーパーに行くこと
  • 通院
  • 仕事で公共交通機関を利用すること

一方、以下の場合は不要不急には該当しないため、できるだけ外出を控える必要があります。

  • 屋外での運動
  • 飲み会
  • 大人数での集まり
  • 特に用事のない散歩
  • 帰省や旅行

散歩に関しては、普段人が少ない場所でも、花見など季節のイベントで混雑が予想されることがあるためです。

また帰省や旅行などに関しては、普段会わない人と会う、もしくは普段行かない場所に行くことで感染を拡大させてしまう可能性があるためです。

人々はどの程度外出を控えているか

コロナ生活が始まってもう3年。ほとんどの人は繰り返される外出規制と規制緩和にうんざりしていますよね。

その上で外出自粛を続ける人もいれば、特に気にしなくなっている人もいます。実際に人々はどの程度外出を自粛しているのでしょうか。

2022年9月に行われた「第5回新型コロナウイルスによる生活と意識に関する調査」(第一生命経済研究所)によると、「新型コロナウイルスに関する情報や対策が増えたことで、人と会うことへの抵抗感が弱まった」という質問に対し「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と答えた人は全体の39.2%にとどまりました。残りの60.8%は「あてはまらない」「どちらかといえばあてはまらない」と回答しています。

新型コロナが流行し始めた当初に比べ、ウイルスの特性や感染経路、また感染予防に関する情報は各段に増えました。感染予防対策としては、ワクチン接種、より受けやすくなったPCR検査などが挙げられます。

さらに感染予防のために「人と会うのを控えている」人の割合は7割という調査結果が出ています。これは、体調が悪いわけではなくても、感染予防を意識した生活を続けている人は一定数いるということを表しています。

外出自粛のもたらす心身へのリスクとは?

感染拡大対策として外出自粛は有効ですが、その一方で外出が減ることで心身に与えるリスクの面も無視することはできません。

実際にコロナ禍で人と会わない生活を続けることで思わしくない影響が、特に高齢者や子ども層に出ることが想定されます。

外出頻度が減った高齢者は、身体機能が低下し、それまで介護を必要としていなかった人でも要介護状態へ移行するリスクが高まることが報告されています。

また心配されるのは身体の健康面だけではありません。それまで認知機能に問題がなかった人でも、急速に認知機能が低下し、認知症を発症するケースもあります。

そういったリスクは外出の頻度が少なければ少ないほど上がり、さらに死亡率まで高くなるというのです。

また独り住まいの高齢者には心理面への影響の問題もあります。外出頻度が低いほど、抑うつ感・孤独感を持つ傾向にあることがわかっています。

次に外出自粛がもたらす子どもへの影響をみてみましょう。感染を防ぐために屋外で遊ぶ時間が激減したため、子どもたちは慢性的に運動不足の状態になっています。その結果、子どもたちの筋力が衰え、転びやすくなることなどが懸念されています。

運動は子どもの身体の成長には欠かせないものです。コロナ禍以前ですらすでに減っていた子どもの運動量がコロナ禍でさらに減り、子どもたちの成長にどんな影響を与えるかが心配されています。

子どもの心理面への影響はどうでしょうか。黙食やマスク生活の意味をきちんと理解して実行している子どももいれば、ただきまりだからと従っている子どももいます。どちらの子どもにもストレスはあり、子どもによっては頭痛や腹痛など体調不良を訴えるケースも出てきています。

また友達と思い切り遊ぶ時間を奪われることで、普段より甘えてみせるなどそれまでと違う行動に出て親を戸惑わせる子どももいます。

まとめ

終わりの見えないコロナ禍で、引き続き感染拡大対策としての外出自粛を一定数の人が続けています。今後は外出自粛によるマイナスの影響も念頭におきつつ、感染対策を続けることが重要になってくるでしょう。