行動制限緩和とは?行動制限が緩和されたことによる影響

政府が2022年9月に「Withコロナに向けた政策の考え方」を発表して以降、ワクチン接種をした人や陰性証明を持った人を対象にした行動規制の緩和が進んでいます。今回は、冬本番を迎え、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行が懸念される中、これまでを振り返るとともに行動規制緩和の影響について見ていきましょう。

行動規制緩和とは

新型コロナウイルスの行動規制は、新型コロナウイルスの感染拡大と医療のひっ迫防止を目的に、2022年の1月から3月までの第6波ごろまで厳しく制限されました。

具体的には、レストランや居酒屋でのアルコールの提供を停止し、人数制限や時短営業、休業を要請する、不要不急の都道府県をまたいでの移動の自粛を呼びかける、イベントの中止や延期もしくは参加人数に制限を設けて実施する、学校・保育園では一斉休校・休園、対面授業からオンライン授業への移行などが行われました。

行動規制を行うと、日常生活と経済活動に大きなダメージを与えることになるため、政府は、感染リスクを引き下げながら経済活動が継続できるようにと徐々に行動規制を緩和してきました。2022年10月11日からは、外国人観光客の入国人数に上限を設けないこととし、入国する際のPCR検査も、入国後の自宅待機なども不要となったのです。

飲食店やレストラン、居酒屋などでの行動規制緩和

緊急事態措置やまん延防止等重点措置が適用された都道府県での飲食店は、時短営業を余儀なくされていました。2021年7∼9月の第5波では、アルコールの提供は一定の要件を満たしたお店のみ午後7時までとなったこともあります。東京都など1都3県では2021年10月25日から通常営業できるようになりました。

厳しい行動規制が強いられたのは、レストラン、居酒屋などの飲食店。新型コロナの初期において、クラスター(集団感染)が発生したことが原因です。緊急事態措置区域及び重点措置区域、まん延防止対策区域となった東京都では2021年の1年間のうち営業できたのが2カ月間だけという店舗もありました。

都道府県の要請を受け入れた飲食店には、都道府県ごとの協力金が1日3∼10万円が支払われたのですが、事業が立ち行かなって、廃業・倒産したお店も少なくありません。

飲食店では、今後も感染防止対策を行いながら通常営業を実施することになりますが、コロナ禍の休業や時短営業でアルバイトやパートが辞めたこともあり、人手不足が続いています。

イベント・ライブ会場での行動規制緩和

大規模イベント会場では2022年3月に人数制限が撤廃され、行動規制が緩和されました。ただし、入場する際のマスク着用、体温測定などは義務付けられています。

新型コロナウイルスの初期の2020年、ライブハウスでのクラスターが全国各地で発生し、「コロナの温床」と揶揄されたこともあって、参加者の連絡先を把握するなどの対策を行うことを条件に人数を制限した状態で活動を続けていました。2022年10月からは、収用人数を条件付きで100%認められるようになり、行動規制が緩和されています。

祇園祭やねぶた祭など、全国的にも有名なお祭りは2022年になって通常開催され、大いに賑わいました。地域のイベントや同窓会なども3年ぶりに復活し、地域ごとの飲食チケットなどが発行されたことも手伝って、ホテルや宴会場は賑わいを取り戻しています。

移動・観光での行動規制緩和

新型コロナのワクチン接種を3回した人もしくは陰性証明を持っている人は2022年11月時点で、ワクチン接種証明などを提出することで、全国どこでも自由に旅行することが可能です。

2020年7月から実施されたGo To トラベルは現在も停止中ですが、都道府県独自の地域割がお目見えし、2022年10月11日からは地域ごと行っていた割引の範囲を全国に拡大した「全国旅行割」という新しい支援事業が登場しました。

お得な割引制度もあって、コロナ禍で閑古鳥が鳴いていた観光地に観光客が戻ってきています。しかし、ホテルや旅館などが閉鎖し、観光業に携わっていた人の離職が相次いだこともあって、ホテルや旅館では現在人手不足に陥り、人がまだ戻ってきていない状態が続いています。

新幹線や鉄道などは2022年10月から全国旅行割がスタートし、乗車率が戻りつつありますが、コロナ前の2019年と比べて60∼80%しか回復していません。国内線のお盆の搭乗率も2019年比で80%程度です。フライトの本数が減り、業務できないフライトアテンダントが地方自治体などに出向したケースもありました。

全国旅行割を追い風に国内旅行に出かける人も増えそうですが、円安や燃料費高騰による運賃の値上げの影響もあり、海外旅行へ行く人は減少することが予想されます。

学校・保育園での行動規制緩和

コロナ禍の初期、学校閉鎖や閉園が相次ぎ、2020年には1週間登校・登園できない状態が続いたほか、全国高校野球選手権(夏の甲子園)やインターハイ、NHK合唱コンクールなどは軒並み中止。修学旅行を実施しない中学・高校も多く、入学式、卒業式も規模を縮小して行われました。

5歳から11歳までの子供を対象としたワクチン接種は2022年3月から始まり、同年10月からは生後6か月から4歳までの接種がスタートしました。子供は重症化リスクが低く、高熱などの副反応を不安視する親も多いことから、接種率は伸び悩んでいます。

まとめ

今回は、新型コロナによる行動規制緩和について、これまでを振り返りながら今後の影響などを予測しました。冬を迎え新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念される中、マスク着用と手洗い・消毒を徹底しながら行動することが求められています。